私はみどり先生が元気だった頃の夢をよく見る。時には病気のみどり先生が
いるのに元気なみどり先生が登場することもある。元気なみどり先生は病気
のみどり先生に冷淡だし、多くの場合は自分のことしか考えていない。もとも
と普段はそうだったので、そのままのみどり先生である。
みどり先生はずっと眠っているのでおそらく多くの夢を見ているだろうと思う。
夢の中ではほとんどの場合は元気なみどり先生だろう。ただ、彼女の病気か
ら想定すると、ゆめは極めて断片的なものとなるだろう。でも、そうなら彼女の
記憶をとどめておくには有意義なものに違いない。画像として、言葉として、
感情として彼女は夢の中に多くのものを持っていて、それらをときどき引き出
してさほど意味も感じないまま、まるで前世の記憶のようにあり続けているの
ではないだろうか。今のみどり先生にも現実は継続的なものとなっているよ
うだ。私が語りかけると頷いてたり、じっと眼をみつめたり、微笑んだりしてい
る。介護師さんたちも少しずつ覚えるようになっているように思える。
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