みどり先生が倒れてから8か月になり、法定の治療期間、回復期間
が終わってしまう。思うように喋れない。思うように指が使えない。立
てない、といった幾つものハンディキャップを残したまま、一応医師領
域の仕事は終わりといえるのかもしれない。みどり先生はとても元気
で、今のままの健康持続にはほとんど問題はないといえるかもしれな
い。ただ、脳細胞の一部、記憶を定着させる部分が収縮してしまって
使えないため、それを補うための健全な細胞によるネットワークの代
行を発達させていく必要がある。それは身体の方で必要とし、それを
使っていくことで発達するものだ。今のところ人を正しく認識している
のは私だけで、私とのコミュニケーションはほとんど問題なく取れてい
る。他の人を認識しないのは今のところその必要がないからだろう。
食事もぐんぐん上手に食べることができるようになり、食事の後に薬
を飲んだり、歯磨きをしたりというルーチンもしっかり覚えていて、苦い
薬も我慢して飲むし、終われば歯磨きのために自分から車椅子に
乗ろうとする。問題は普通に座ることができない点で、私は毎日、
ベッドの脇に座らせる訓練をしている。手を離すとすぐに倒れてし
まうが、聞くと上下感覚が衰えていて、直立しているつもりでも倒れ
てしまうのだという。腰の筋肉はある程度ついてきていてるし、重力
に対応する能力が回復していけばこれは可能ではないかと思って
いる。直立できれば今のようにもたれて座る車椅子ではなく、折りた
たみの普通の車椅子に乗れることなんり、そうすれば外出もでき
るし、彼女の好きな温泉に連れて行ってあげることもできる。残りの
3か月はこれと、指先の鍛錬、立てることの3点を目標にしたい。
言葉は突発的な「痛い」「ほしい」「わかった」というような言を発するが
自分の考えを伝えるようなことには難があり、それでも時々は試みて
いるので、自分の意思で必要に応じて発達していくだろうと思う。
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