みどり先生が倒れてから私自身の性格は大きく変化していると思う。みど
り先生の取引先などに対して譲ることが絶対なく、相手の弱点を突いてで
も強引に主張を通すようになり、かなり戦闘的に交渉するようになった。実
際にそうしなければ短時間に話をまとめることができないのだが、それだけ
ピリピリしたきつい性格になったと思う。それはみどり先生のために必要な
ことで、必ずしも好き好んでというわけではないのだが、、やはり彼女の危
篤状態で一度死ぬつもりになったことが大きく自分を変えているとも思う。
この日記を書きつづけることも、かなり赤裸々に病状などについて本当のこ
とを書くのも同じ理由によるものだ。みどり先生が病気で倒れ、身障者として
社会の片隅でひっそり生きていくのであってはならないし、医師としては闘
病が最も重要な意義を持つ仕事となり、彼女が生きることになったからには、
それを書き残さねばならないとも思う。病気や身障者への偏見に立ち向か
う必要もある。みどり先生の医師としての優秀さも、無難な処置ではなく、最
大限に適切な方法を追求したところにある。かなり冒険でもあるし、細心の
注意と集中力で行わなければここまで医療ミスなく来れなかっただろう。そ
してペインクリニックというものはそういうもので、そのように考えてきたから
こそ、ペインの名人といわれるほどの技能を身につけることができたのだと
思う。私もそんなみどり先生に習って自分を作り変えたともいえる。
彼女は倒れてからむしろ性格が穏やかになった。それでも次々と自分の課
題を克服して、新しい生き方を見つめている。私自身はそれが私と歩調を合
わせた次の人生へのステップと考えている。この日もいつものように彼女の
看病をして、当たり前のような日常を続けた。その積み重ねが過去よりもずっ
と二人を結び付けていくように思う。
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