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2007年 12月 01日
みどり先生の持ち馬で先月に勝ったマイネルボンピオンとマイネルキッツの
写真を持っていったが、やはり関心を示すことはなかった。マーヴィン・ルロイ 監督(カリフォルニアでの競馬再開にも貢献したのでレース名にもなっている) の名作「心の旅路」は何度かリメークされ、「銀座の恋の物語」のようなパクリ 映画も数多いけれど、ずっとあのように過去の記憶だけを喪失して、それ以外 の思考回路は正常ということがありえるのだろうかと考えていた。でもみどり 先生の場合は本当にそれに近い状態だと思う。大脳の記憶をつかさどる部分 が破壊されていたので、ある程度の記憶喪失は覚悟していた。それでもある程 度の記憶がなければ日常的な生活もできないのではないかと思うのだが、この 面では驚くほど正常で、話しかけることにはかなり複雑な内容でも正しく反応して くれる。クリニックヴェルデについても、漠然としたパターン認識ではそれなりの記 憶を持っているようではあるが、具体的に例えば取引先のこととか、治療に関し てとか、患者さんのこととか、その他の殆どのことについての記憶はないようだ。 私に関してすら、記憶としてではなく、その後の看病を通じてほとんどのことを知覚 しているように思える。もしかすると彼女は大変貴重な症例なのではないだろうか。 過去についてくよくよと悩むのは、単に過去の自分を思い出してのものではなく、 漠然としたパターンとして過去のさまざまな感覚をとらえながら、それを具体的に 思い出せないという点にもありそうだ。私に関してもおそらくさまざまな楽しいことが あったとは知覚しているのだろう。それでいて具体的に何があったか思い出せな いという苛立ちがあって、私の手に噛み付こうとするのもそれが原因ではないか と思える。昨日のみどり先生はかなり静かで、テレビも30分程度見つめていた。 もう噛み付かないのかもと思って手を差し出すと、やはり強く噛み付いた。手に歯型 の内出血ができたが、まだ、何度も噛み付かれることは覚悟しなければならない。 「心の旅路」では2度目の事故で記憶を取り戻すし、多くの記憶喪失ものの映画で もどこかで記憶を取り戻すけれど、こちらの方はあり得ないと思う。破壊された脳 細胞は再生されるだろうが、再生された新しい脳細胞に元の記憶が残っている可 能性はない。取り戻すとすれば、パターン認識として持っていたものに新しく獲得し た知識が複合した場合で、これは徐々に進んでいくものだろう。記憶は記憶回路の みに残されるわけではなく、パターン認識や直感的な理解、快楽や恐怖への反応な どさまざまな部位に残されているはずだ。 記事の下に広告が表示される場合があります。この広告はexciteの広告枠で、当ブログとは無関係です。
by yamanokoichi
| 2007-12-01 09:37
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