昨日のみどり先生はさらに私への依存度が高くなっていて、途中で病院
での物品の買い物に出かけようとすると手を強く握って離さない。しばらく
そのままにして、改めて買い物してすぐに戻ってくるからというと、今度は
すぐに手を離した。彼女の教養学部時代の友達が見舞いにいらっしゃると
いうことだったので、名前を言って覚えているかと聞くと頷いたのだが、その
人が来ると応答しなかった。再び私が付き添って発声を促したところ、たま
たま肺の苦しさが襲ったのか呻き声を出した。「あ、それそれ、そうして声を
出すんだよ。あー、といってみて」というと、ついに「あー」という声を発した。
「できるできる。続けて口をすぼめて、いー」というと、今度も「いー」といった。
それからは「うー」「えー」「おー」までしっかりした発声をしてくれた。「すごい」
私も、後ろで見ていた彼女の友人夫妻も大感動だった。かーはさらに肺を使
うので難しそうだったため、この日は「あいうえお」だけにしたが、おそらく彼
女は喋れるようになるだろう。何とも嬉しい一日だった。帰りに友人夫妻と祝
杯を交わし、その日の感動を話し合った。私とみどり先生の新しい人生の第
一歩が始まったと思う。
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