みどり先生は徹底してプラグマティツクな人で、いわゆる芸術的関心
が極めて低い。実に私の小説は「メシメリ街道」を読んだだけでとても
付き合えないという。本をあまり読まないが、山本有三記念館へ行く
とそういうものはそこそこ読んでいた。ただ、無趣味ではなく、茶道、
書道などは師範だし、カラオケでカーペンターズなどを歌うと誰もがう
まいと驚く。書道が師範でも作品らしい作品は私にプレゼントしてくれた
式子内親王の歌だけしか残していない。オペラなどには付き合ってくれ
るがほとんど眠っている。オペラというのは素晴らしいものとされている
ので頑張って付き合っているという感じだ。おそらく最も医師に向いた
人なのだろう。みどり先生とずっと愛し合える理由も、そうした2人
の違いと、互いに相手を理解できる聡明さ最大の理由ではないかと
思う。みどり先生は私にかなりのコンプレックスを持っていて、医療と
車の運転と、箸の使い方だけは負けないといつもいっていた。むろん彼
女には私に負けないものが一杯あるのだけれど、英語会話などはもっと
通じる英語を喋りたいと考えていたし、オペラを楽しめるようになりたいと
思っていた。それでも共通の話題は多く、競馬だけでなく、食べ物とか、
日常的な便利なものとか、社会現象などについて長く話し合うことは多
い。そんな話ができるようになってくれれば彼女に活気が戻ってくるのに
と思う。今日も朝から書類の整理を続けたが、私に最も向かないのは事
務員の仕事だとつくづく感じる。朝の7時から10時まで3時間続けると完
全に限界だった。
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