みどり先生の古くからの親友のSさん、仕事の関係で匿名となるが、
Sさんはみどり先生に「悔しいね、こんなことになって」と話す。みどり
先生も悔しそうに口をゆがめる。「そういう考えは良くないよ、どんな
境遇にもそれに応じた幸せがあり、いかにそれを求めていけるかが
大切なんだ」と私はいう。Sさんはふと気付いたように「そうです。おっ
しゃるとおりです」という。Sさんはみどり先生の東大医学部時代の友
人の奥さんだったが、若くしてご主人を失い、女手一つで息子さんを育
ててきた。悔しいという言葉には自分と、若くして亡くなったご主人への
気持ちがこめられているのはよくわかる。そんな彼女への私の言葉は、
自分たちのことを話したつもりでも、結果的に説教じみたものとなった。
でもおそらく彼女も私の言葉のように考えて生きてきて、今は息子さん
との生活がとても充実しているのだろうと思う。みどり先生もまたそんな
彼女が好きだったのだろう。「みどりさんは幸せよ」彼女はつぶやくよう
にいう。そんな気持ちになるまで時間がかかったのだろうと思う。
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