みどり先生はずっと眠っている。脳が全く働いていないわけでもない
ので、たぶん夢を見続けているだろう。
私はまだ4時間程度しか寝ていないし、吉江雅子さんがお見舞いに
届けてくださったクッキーを2、3個食べているだけなので、かなり身
体は弱っているだろうと思う。こんなに何も食べられないのは生まれ
て初めてだ。身体にそこそこの蓄えがあったことに感謝している。
みどり先生の家でいろんな書類を捜さなければならないので、何度
も彼女のマンションへ行くのだが、少し居ると大声で泣いてしまって
自分の気持ちが手におえなくなってしまう。いたたまれずにマンション
を出て家に戻ると少し落ち着いて、また彼女のマンションに行って何々
を調べなければと思う。そのようにして往復を繰り返している。
クリニックを閉鎖するとしても彼女の預金は本人でなければ引き出せ
ず、全てを立て替えるとなると1か月も持たないようだ。籍を入れてな
く、戸籍上の同居でもないのでたぶん相続もできないだろうし、となる
と収入は全くなしで、支出だけが私の負担となる。これはまず無理とい
う他はないと思う。ともかく弁護士さんや会計士さんに相談してなんとか
とかなるかどうか考えなければならない。
こうしてまた途方にくれてしまう。投げ出して死んでしまうというような気
持ちには絶対ならないつもりだ。死ぬにしても全てを片付けてからでな
ければならない。
みどり先生の寝顔を見ていると決して悲しくならないのに、マンションで
いろんな思い出を見つけると泣いてしまうのは自己中心的な考え方と
も思う。月曜日までは連休で何も進めることができず、火曜日からさま
ざまな処置にかかることになる。それまで何とか眠り、何とか体力をつけ
ておきたいとも思う。みどり先生とのことがどれだけ幸せだったかを考
えれば、この代償も決して高くないと思う。
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