世界SF大会が近づいて、実行委員の人たちは大変なようだが、グラニア・
ディヴィスさんが私たちのシンポジウムに出てくれるということでとても嬉し
い。SFシンポジウムのときと違って、今のSFファンの絶対数を考えると、
ワールドコンなんて良く開いたものとも思うが、一般社会では何の話題にも
ならないというのも、現在のSF状況を示しているといえよう。多くの企業から
メディア、広告、芸術など、ほとんどの分野で一時代、われわれの時代の
SFの影響を受けており、恩恵を蒙っているものも多いと思うけれど、SFが
そうした意味での重要な文化と考えられることはない。今の時代の先端的
な仕事をしている人たちの多くはSFを読んで育っているはずだし、SFが
思想的に与えてきたものも大きいと思う。でも、この点に関してはアメリカや
イギリスでも似たようなもので、私自身も、筒井康隆やJ・G・バラードなどもSF
作家と呼ばれることはほとんどない。SFというのはスターウォズのようなもの
としてずっと定着しているということだろう。でもまあ、世の中の評価というもの
にはそれなりの必然性があるものでもあって、長期的には何度も再評価され
たり、されなかったりで、最終的に落ち着くものが正しいということになるのだ
ろう。
記事の下に広告が表示される場合があります。この広告はexciteの広告枠で、当ブログとは無関係です。