足立正生の帰国第1作「幽閉者」が完成し、スタッフ、キャストたちによる
試写会が行われた。期待通りの優れた作品だと思う。長い空白があった
だけに処女作のような新鮮さがあり、印象としてはワイダの「地下水道」
のような趣がある。人間をとらえてのリアリティと世界観の観念性があや
取りのようなメタモルフォーセスを展開していく。意外にテルアビブ事件を
感じさせないのも十分昇華されているからだろう。足立は挨拶で「今まで
の私の作品とは打って変わってわかりやすい作品」というが、「でもね、み
んなすごいエネルギーというだけなんだな」という。まあ、確かに普通の人
がみれば観念的なんでしょうね。でも、それがなければ足立作品ではない。
後半の幻想シーンや幻想と現実との逆転は私が書いた「なりすまし」に繋が
るものとなっていて、面白いほど私の考えと共通するものがでていた。
私にもこの作品がどのように受け入れられるかわからない面が大きいが、
多くの人が「今はこういう作品が求められているのではないでしょうか」
という。私もそう思う。
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