足立正生のアラブ獄中記「塀の中の千夜一夜」が出版されたが、この本を
まとめた山口猛さん(「松田優作-炎静かに」「映画俳優安藤昇」「撮影監督
宮島義勇の昭和回想録」などの著者)が完成目前に急死した。今日はスプ
リンターズSでサイレントウィットネスが出走するのだが、山口さんの追悼と
足立の出版記念を兼ねた会が開かれたので、中山に行かず、銀座のパー
テイ会場に向かうことになった。
この本はレバノンで抜き打ち逮捕されてから日本への強制送還までの千
日を超える獄中生活という特殊な体験を通して、足立が観たもの感じたもの
を千夜一夜よろしく語ったもので、国際社会の駆け引きやアラブの官僚社会
の不条理、囚人たちを通じて知らされるアラブのマインド、待遇改善要求の
蜂起、などさまざまなテーマを語りつくした大冊で、足立のスケッチやイラスト
も挿入されている。誰にも想像できないような環境下の体験記なのだが、よ
じれながら筋道が通っていくのはまさにアラブらしさといえるだろう。
愛育社刊 3200円+消費税。
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