成年後見人制度

みどり先生が倒れたときに最も大変だったのは彼女のクリニックの閉鎖にともなう
様々な処置だった。まず成年後見人として裁判所の審査を得なければ彼女の預金
などを使うことができない。一方で借金や仕事上の支払いは容赦なく請求される。
それらは私が立て替えることになるが、高額のものは成年後見人が下りるまで待って
もらっても、従業員の支払いなどは本人の死活問題なので支払ってあげなければ
ならない。その間に立て替えた額は数百万円になった。成年後見人が認められてか
らはさらに大変で、役所や金融機関などに手続きをしなければならない。ところが
金融機関などには成年後見人制度への理解がいきわたってなく、すべての手続き
が終わったのは最近である。後見人制度は裁判所のものなので、金融庁などの行
政指導がいきわたっていないようで、金融機関などで対応は全く違っている。彼女は
借金もあったがそこそこの蓄財もあり、投資魔的なところがあって、株式、外貨預金、
貴金属、生命保険など、ちまちまとあちこちに資金分散をしていた。およそ30件程度
の手続きが必要だった。こうした面でのコンプライアンスの優秀な順位をつけると、
1 　裁判所、2 三鷹市役所、3 八王子市役所、4　　ゆうちょ銀行、5 三井住友銀
行、　6　三井住友信託銀行、7 第一生命、8 シティバンク、9 田中貴金属、10
多摩信用金庫
裁判所がよく分かっているのはあたりまえだが、急いでいることまで理解していて、
書記官、調査官ともに迅速に処置してくれたし、調査官の審査が終わるとすぐに
成年後見人の認可がおりた。これに時間がかかると私が大きな借金をしなければ
ならなかったほどだ。市役所もスムースで、窓口担当者までしっかりした知識を持っ
ていて、みどり先生の印鑑証明の廃棄などの処置もすぐに通知がくる。ゆうちょ銀行
の場合は窓口担当者が申請書と成年後見証明の閲覧をすると、それを封印して
本部に送り、専門家が調査の上、他に必要な書類を請求してきて、それを記入や
添付すると処理が完了するという優れたシステムを持っている。他にはこうしたシス
テムを持っているところはないが、三井住友銀行と三井住友信託銀行、シティバンク
などは窓口担当者のレベルでかなりの知識を持っており、不明なところは本社の専門
部署に電話で問い合わせるたけで短時間で手続きが完了した。
ワーストはというと、1 明治安田生命、2 三菱UFJ銀行、3 三菱UFJ信託銀行と、申
し合わせたように三菱系列だった。明治安田生命は一度業務停止処分を受けており、
三菱自動車はめちゃくちやだし、三菱重工は旅客機が試験飛行の段階で飛べないと
いうように企業グループ全体でなんともひどいことばかり。三菱地所、東京海上火災、
キリンビールといった大独走を続けてきた企業が軒並み業績を落としており、これは
三菱の各企業がそれそれ単なる支店でしかなく、本社は内閣官房にあって、そこから
の指令でしか動けないからだろう。各企業には企業としてのシステムが欠落しており、
三菱UFJ銀行では成年後見人の手続きをそれぞれの通帳の支店ごとにおこなわねば
ならず、三菱銀行、三和銀行、東京銀行、東海銀行なとに口座を持っていたみどり先生
なので、三菱UFJ銀行の支店を10か所ほどまわらなければならず、それぞれの支店で
担当者のコンプライアンス知識はほとんどゼロだが、本社に問い合わせる部署もない
ようだった。これは政府と三菱コンツェルンの癒着に根差したとんでもないミスの積み重
ねで、日本経済を滅ぼすのは政府と三菱の関係だと思う。むろん三菱の軍事産業復活
がその根底的な理由だろう。写真は模範的な日本郵政の本社です。

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