
荒巻義雄のメタSF全集の刊行が始まっています。第5巻の「時の葦船」には私の
文庫本解説も再録されます。価格はかなり高いですが、いまこういう文学性の高い
書籍が売れるのはSFだけで、つまりSF読者だけが日本の現代文学と呼ぶべきもの
を読むということでもあるのでしょう。とはいえ、SF読者の大半はやはり宇宙、ロボット
で、そうした作品の読者の一部はレムとか、ティックとか、バラードといったハイレベル
な現代文学に入り込んでしまったということでもあるのでしょう。これは日本だけの歪み
現象ではなく、アメリカとか、フランスでも起きていることですが、イギリスではバラード
などのSF作家がすんなり代表的なイギリス文学として読まれ、バージェスんど代表的
な作家がSFを書いている。そういえばイギリスではポピュラー音楽とクラシックの区別
にもさほどこだわらいし、政治と哲学がすんなり融合するし、植民地とも地方自治とも
いえない関係が続いていたりしますね。世界はまだまだイギリスのデモクラシーに追い
ついていないということでも姐でしょう。
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