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2012年 06月 07日
2冊の傑作選に対する読後感や批評はその後もかなりネット上で展開され
ている。もともと朝日、読売、NHKといったメジャーな場でかなりの活躍 をしていたので、同じメディアとしては私の作品集の再刊が少しは話題に なって良いともおもうのだが、考えてみれば当時の担当者は私よりも年上 なのでとうの昔にいなくなっており、現在の担当者はその後に私の作品に 全く関心を示さなかった世代である。そして再刊で強いインプレッション を得たのはおおむね70年代以降の生まれの読者たちのようだ。 ネット上の記述者の一人一人について世代がわかるわけではないが、「S Fが読みたい!」での投票者とか、書かれている内容で判断をすると、確か に団塊世代以前以降という世代キャップがあるようで、新人類と呼ばれた 60年代生まれでも70年代に入るとさらに新人類性が強くなり、BBSに投稿 してくれた平成生まれさんのような80年代ではそれが当たり前となっている。 面白いのは私の作品と、円城塔、伊藤計劃といった現在の第一線の若手作家 たちとの共通性を指摘する記述がかなりみられる点で、私も遅ればせながら こうした作家の作品を読んでうなづけるところが多かった。円城さんや同世 代の岡和田晃さんが「SFが読みたい!」で私の作品を一番に挙げているとか、 多くの面でこの傾向を認めることができる。巽孝之先生は円城作品の解説でも 私との関連を述べているが、これは相当はっきりした傾向ではないかと思う。 面白いことに70年代以降の人々が本を読む時期には私の作品がほぼ書店から消 えていて、読むには1万円もの大枚をはたいて古書を買わなければならず、円城 さんは最近になってようやく読めたようだし、伊藤計劃には読んだ形跡がない。 むろんバラード、ディック、レム、安部公房といった私が積極的にかかわって きた作家たちを通じての間接的なつながりはあるのだけれど、それ以上にやは り時代的な背景が大きいようだ。 その一つはデジタル型の思考で、直接手に触れ、見聞きするものとネットや 図書、TVなどで得る情報との相違を持たないという点であろう。これは第2 の相違となるコンプレックス型の自己形成とセカイ型の自己形成の相違とも なる。そうした物語展開や記述手法が円城塔との共通性だろうが、伊藤計劃 とは本質的なテーマとか、思想の面で共通しており、作品量がかなり近いし 「ハーモニー」と「花と機械とゲシタルト」、「虐殺器官」と「レヴォリュー ション」との共通性、「セカイ、蛮族、ぼく。」という短編なんて「ヘイフ レドリック」にそっくりた。(こうしたことは岡和田さんとのネット上の対話 で気づかされた) 昔の山野浩一にはそういう時代を予測できなかっただろうが、やはりああした 多角的な文学活動をかなりの勢いで続けたのは、その必要性があってのことと も思う。直接的な影響でなくてもさまざまな形でその成果は出ているのだろう。 いまの私には他人事として「よかったね」という程度の感想しか持てないこと も事実で、それは彼ら新世代の活躍によって目的が果たされたからといえよう。 記事の下に広告が表示される場合があります。この広告はexciteの広告枠で、当ブログとは無関係です。
by yamanokoichi
| 2012-06-07 10:31
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