河野典生さんが亡くなられた。河野さんはもともと寺山修
司、谷川俊太郎さんらと詩の仲間で、たまたまミステリー
を書いて評判を得たため、日本の元祖ハードボイルドと
呼ばれたことがありました。その後大藪春彦ブームが訪れ
るとハードボイルドという意味が全く違った方向へ行っ
てしまったためにミステリーはやめたといったりしたこと
もあり、そんなときにSFは詩と小説を結ぶ素晴らしい分
野となったと思います。彼をSF界に引き込んだのは筒井
康隆で、NWSFの創刊のときにも筒井さんは河野さんに
書かせればよいと勧めてくれたのが発端でした。河野さん
にはずっとNWSFに書いていただき、初期の未発表作品
も何度か掲載しています。河野さんの自宅には世界各地か
ら集められた民族楽器の一大コレクションがあり、家に
世界の音楽が持ち込まれていました。最後にお会いしたの
もずいぶん前の武市さん(やはり寺山たちと共通の友人の
演出家)の一回忌の時だったと思う。「街の博物誌」は一
度復刻刊行されましたが、多くの人に愛された作品でし
たね。私は「続街の博物誌」がさらに好きですが、上下巻
で復刊されてほしいですね。ずっと安らかだった河野さん
には安らかにという言葉は不適切ですが、いうとすれば
「おやすみなさい」という感じですね。 合掌
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