外出できる時間が限定されているので日用品などを生協の宅配や
ネットショップで買うことが多くなったが、そういう毎日が続く
と確かに現実世界が希薄になっていくように思える。収入もいつ
の間にか全て銀行振り込みになり、支払いはカード、ほとんどの
ことが架空空間の中で行われている。長く連載を続けているよう
な仕事先もずいぶん長く訪問していないし、親しいはずの人たち
とも会うことは少ない。昨年は競馬場へ行ったのも10回以下だ
と思う。ときたま外出するとやはり買い物で過ごすことが多く、
買い物がとても楽しくなる。でもいずれはネットショップで完
全に満足してしまうのだろう。でも、今のように便利な時代でな
ければ、今のような介護生活は大変だっただろうとも思う。虚構
の世界に生きているという気がしても、虚構をもっているだけあ
りがたいともいえる。馬券はいつでも買えるし、たくさんの書物
を周辺に置いておかなくてもほとんどの調べ物はできる。
で、小説というのは現実の虚構以上にリアリティがあって、こん
な時代の精神を充足させる貴重なものではないかとも思う。ネット
に数多く出てくる私の小説に対する読後感や批評を読んで自分が
大変素晴らしい仕事をしてきたものだと思えた。昔はこのように
多くの人が正面から小説に向き合うことがなかった。
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