最近のみどり先生は楽しいことと嫌なことをはっきり示すように
なった。誕生日を温泉で迎えようというと満面の笑顔となる。ヘ
ルパーさんたちも温泉の話をするとニコニコするので対処が楽に
なったようだ。で、みんな次々と温泉へ行けるのいいねといい、
その都度みどり先生はニコニコしている。久々にCTをとったが
悪くなったところはないけれど、良くなったところもなく、脳に
関してはこのまま安定してしまったようだ。その範囲内でリラッ
クスできて、食事や温泉で体調が向上することで全体的には非常
に良くなってきている。不思議なのは声が出るし、口を動かして
言葉を作ろうとしているのに、実際の言葉を喋ることはほとんど
なく、手がかなり動くようになったのに、ものを握ったり、押し
たり、突いたりというようなことはしない。させようとしても全
く感心を持たないのだが、案外作業としいものはそういうものな
のかもしれない。さらに不思議なのは他の障害者はそうでないの
に、彼女の場合は顔面に全く障害が出ず、細かい筋肉までまるで
問題なく動いて表情を作ることができる。何か自分で必要なこと
と、不要なことを区別して不要なところへ障害を送り込んでいる
ようだ。
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