ネット時代というのはありがたいもので、多くの読者の読後感を簡単に
受け取ることができる。「鳥はいまどこを飛ぶか」と「殺人者の空」では
かなり売れ行きの差がつき始めており、アマゾンでは鳥の方が何度か
在庫切れになって仕入れなおしているのに対して、殺人の方はまだ
最初の在庫が少し残っているようだ。人によって印象はさまざまで、
「鳥はいまどこを飛ぶか」「霧の中の人々」「メシメリ街道」「殺人者の
空」「内宇宙の銀河」などはおおむね好評だが、意外に「開放時間」
のような作品を埋もれていた傑作という人がいたりする。確かにアイデ
アや設定は誰も考えなかったものだが、「殺人者の空」のような文章
力のある人間が書いたものとは到底思えない。当時に単行本への収
録するつもりがあればかきなおしていたのだろうが、自分ではそのつも
りが全くなかったのだろう。ただ、SF読者はあまりそんなことを気にしな
い面があり、実際にそういう作品がかなりあるので、これはこれで一部
の読者には満足してもらえたものと考えられ一安心というところかも
しれない。大森さんのキャッチコピー「伝説のSF作家」というのがあち
こちで使われていて、これもインターネット効果というべき、私の現役時
代にはなかったことだ。まさに生きながら伝説に葬られですな。
考えてみれば30年以上前というと、今の50歳の人がどうにかこれらの
作品に接したことがあるという程度で、30歳なら生まれたときにすでに
存在した作品ということになる。本当に伝説の作家ですね。
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