高齢者更新のためのテストで私の反射神経は同年齢
だけでなく、一般の平均値より高いという結果がで
た。それでも最近はさすがに齢だなと思うことが多
い。驚いたのは傑作集のゲラを読んでみて、多くの
作品の内容を忘れていることだ。基本設定について
は間違いなく記憶している。「首狩り」は首だけに
なった人間たちの話だとか、「開放時間」は時間
旅行が自由になる話とか、「殺人者の空」が殺し
たはずの人間がもともといなかったという話という
ようなことはしっかり覚えているのだが、どう展開
するかについてはかなり忘れており、ましてその間
の観念とか、意識の流れのようなことはほとんど忘
れていた。考えてみれば他人の作品に関しても同じ
ようなところがあり、たとえば「奥の細道」はやたら
と疲れたとぼやいていたとか、「城」は2人がじゃれ
あっていたなというように変な部分だけ記憶していた
りする。でも、だからこそ小説の意義があるのだろう
とも思う。それぞれの観念の展開は確かに面白く、本
ができてくればまた読みたいと思うようになった。
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