みどり先生が旅行に耐えられる状態になり、旅行を楽しめる状態になれば
温泉へ連れて行ってあげたいとは彼女の退院の時から考えていたのだが、
何とか耐えられる状態となっても、楽しめる状態になるかどうか大いに疑問
だった。しかし、ここ1か月ほど不随意運動も少なくなり、気持ちを表現でき
るようにもなったので、8月から計画をたてて、実行に向かうことにした。まず
トラベルヘルパーを探してケアマネジャーに接触してもらい、行けそうと思っ
たので見積もりをだしてもらうと数十万円というかなりの費用がかかる。むろ
ん明細に疑問はなく、2人のトラベルヘルパーの4人で2泊、往復介護タク
シーでの妥当な費用なのだが、考えてみればみどり先生の日常には常に
そのぐらいの費用がかかっていて、介護保険、健康保険、障害者支援の3
本柱がその大半を出してくれているだけのことだ。
車いすの自動車で行ける範囲の本格的な温泉旅館で、バリアフリー、貸切
風呂などの設備のあるところは1つだけあった。河口湖温泉ならおよそ1時間
半くらいで行ける。トラベルヘルパーさんは初めてなのに、彼女の状態をパー
フェクトに理解してくださっていて、食事介助も入浴介助も一度の説明で完璧
にこなしてくれた。さらにプラスワンがあって、シャンプーや洗顔の手つきがま
るでプロなので聞くと、美容関係の経験があるということで、みどり先生はエステ
まで楽しめることになった。食事は素晴らしく、みどり先生もさすがにほとんど完
食に近いほど食べた。温泉浴も非常にリラックスして手足を伸ばしてうっとりと
楽しんでいて、1日目は1度しか入浴させてもらえないことが不満というほどだっ
た。ずっとリラックスしてニコニコ笑っている状態も初めてというほどで、全く昔の
彼女のように温泉を楽しんでいた。1年に一度はと思っていたが、これなら3か月
に一度は連れて行ってあげなければと思う。何よりもみどり先生に生きる確かな
楽しみができたのは画期的だった。
記事の下に広告が表示される場合があります。この広告はexciteの広告枠で、当ブログとは無関係です。