出版芸術社から「日本SF全集1」が刊行された。SF作家ほぼ全員の一人1作ずつを
6巻にわたって収録していくというもので、なかなか面白い試みと思う。1には71年
までにSF専門誌にデビューした作家、おおむね第一期作家15人の作品が収録され
ていて、私が最も若いけれど、それらの内7人が物故者である。みんな結構長生きし
ているものと思う。以前は海野十三とか、安部公房がSFの歴史に欠かせないものだっ
たが、いまはもうプロパーSFだけがSFと呼ばれるようになったのだろう。確かにそうで
なければほとんどの作家がSF作家となってしまう。逆に私などがプロパーSF作家であ
るのが不思議とも思うが、実際に一時期は「SFマガジン」の人気作家でもあった。
これは海外でも同じようで、イギリスのような最初からSFしかないような国ですら、SF
雑誌で活躍した作家(ウエルズだけは例外のようだが)と、そうでない作家が区別され
ているようだ。SFというのはそのようにしていまもアイデンティティを保っているといえ
よう。テレビで活躍すればタレントで、舞台で活躍すれば役者というようにSF雑誌で
活躍すればSF作家で、SF作家の書いた作品はSFということだ。
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