回復期にみどり先生が言葉を喋ったのは言葉を喋れないことに気付いていな
かったからだろう。瞬発的に痛いとか、嫌とか、いうものの言葉として彼女が作っ
たものではなく、うめき声を発するつもりが言葉になっていたというだけのことで
はないかと思う。最初から意識的に言葉を作るにはやはり最初の発音からやり
直さなければならない。まず声を出す練習をして、大きく口を開いて今のように
声を出してというと、口を大きく開くことができない。少し開くのだが、何か諦めて
いるかのようだった。根気よく練習をすれば言葉を取り戻すだろうか。脳内ネット
ワーク活動による仕事は主に自身の要求に基づくもので、そうした純粋なプラク
タイス活動としては利用できそうもない。結局のところ脳組織の再生に期待する
以外になさそうにも思える。
考えてみれば彼女が立ち上がって歩いたりできればとても大変だろう。おトイレ
へ行って倒れていたり、とんでもないことをしていたりという可能性もある。言葉
もへんに少しだけ喋れると、それで思考が全て終ってしまいそうにも思える。苦
労はあるが今のように何もかも頼ってくれるほうが彼女自身の生命活動には有
利だろうとも思う。
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