もともと暇があれ寝ているのが好きだったが、それは日ごろの多忙さ
によるものと思っていた。でもみどり先生は本当に寝て過ごすのが好
きなようだ。少なくとも動けないことにさほど不満を抱いている様子は
なく、むしろ自分のベッドで安楽に過ごしているときが最も幸せそうな
顔をしている。私はときどき今後のこととか、さしあたりの彼女の健康
のことなどを話すと、そういうことはしっかり聞いているし応答も確実
にするが、他のどうでもよいような話かけにはあまり応答もしない。
テレビは見ていてもほとんど見ているだけだし、外に出ても景色には
全く関心を持つことはない。比較的反応があるのは見舞い客が来た
ときと、食べ物ぐらいだろうか。こうしたことも僅かな情報処理能力を
必要なことだけに向けようとしているようにも思える。私の方は彼女
の関心に付き合うしかないので、ずっと彼女の関心を抱くものを探し
続けるしかないのだろう。
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