私が離婚を申し出たとき、みどり先生は「もう一度結婚してくれるよう頑張る」
と健気にいった。私の考えていることとはずれていたが、離婚しても同じよう
に付き合っていくという点は理解してくれていたようだ。それでも半分は私が
彼女から離れていく可能性も考えていたようで、彼女は私との付き合いを大
切にしてくれるとともに、彼女の仕事には全く立ち入らせなくなり、私への治
療も拒否するようになった。その間も私はずっと彼女を愛し続け、徐々にそれ
を理解してくれるようになってくれた。最近になって彼女は旧姓のままだった
さまざまな登録を山野姓に変更手続きしていることがわかった。郵便物など
が届かなかったりして面倒なこともあっただろうが、私を強く信頼するように
なってきた面もあると思う。私もまたそんな彼女を強く信頼するようになって
いて、彼女が望んできたようにもう一度入籍しようと考えていた。何度かそう
いおうと思っていたのだが、最終的には彼女と結婚式をしたシドニーで、もう
一度あの教会を訪ねて再婚の誓をしようと考えた。そしてみどり先生はその
シドニー訪問の直前に倒れてしまった。こんなことになるのなら、どうしてそれ
をもう少し前に言わなかったのかと、どれだけ後悔したことだろう。でも、今の
ようになってしまえば、彼女にとっては同じことかもしれない。彼女が自分の
意思表示をできなければ再婚はできないけれど、過去よりもずっと彼女と一
緒の時間は多くなり、互いに愛を感じ続けることはずっと可能となった。
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