続けて都心へ出て、SF作家クラブの集まりに。森優さんなど非常に久々の
人とあうことができた。受賞者の2人はキュルヴァルの「愛しき人類」の会を
つくったという。むろんサンリオSF文庫でのみ入手可能なフランスSFで、監
修者としてはフランスSFを紹介する上で最重要として出したものだ。サンリ
オSFは古書として高価を呼んできたが、最初はSFコレクターたちが集める
ために価格上昇しただけだったのだろう。ただ最近になって1作、1作につい
てこのように作品としての重要性によって求められ、読まれるようになって
きた。当時のサンリオはキャラクター商品の先駈けとして大きな収益を得て
いたが、創設者の辻さんは売り上げを気にせずに日本の文学を変えるような
作品群の出版をしたいという希望を持っており、当時の編集長だった佐藤さ
んがそれなら山野さんに作品選をしてもらうのがベストということでスタートした。
私は毎日洋書を山のように積み上げて、片っ端から早読みして、毎月の刊
行に間に合うよう版権の以来と翻訳の依頼に追われたが、今でもよくあれ
だけの図書を探したり、選んだりできたものと思う。大雑把にディックは全部
というような選び方もあるが、実際にディックの作品は全て名作で、「ブレー
ドランナー」以降には商業的価値も高くなって多くが再刊されている。私の
作品が同じように高価で取引されているように、いまは難しい小説がかなり
読まれるようになったものと思う。難波弘之さんとは音楽の話をした。いまの
ポップス界にはキーボード奏者がいなくなっているという。イエローマジック
の頃にはキーボードでポップスに入るのが当たり前だったように思うが、世
の中さまざまに想定外に変化していくものだ。世の変化についていくというの
は困難だろうが、世の変化を理解することはとても重要だと思う。
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